「エリちゃんの物理」を書いたころは、「人はどのようにして回復するのか」とか、「どのようにして人はある局面から別の局面へと移っていくことができるのか」といったことに興味がありました。
ですのでこの作品や、同時期に書いた「家出」は、その回復するなり、ある局面から別の局面へ移るなりする、「出来事・きっかけ」について書いたものです。
この「出来事」って、アメリカ南部を舞台にした小説を書いていたカトリックの作家、フラナリー・オコナーがいうところの「恩寵」、
もしくはわれらが中島らも先生のいう、「その日の天使」、みたいなものではないでしょうか?
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ところで、この作品の冒頭にでてくる犬のモデルは、友だちの愛犬「ロク」です。
この犬は、ある日ふらりと友だちの家にやってきた迷い犬なんですが、死期も近づいたある日、もうぜんと脱走し、数日経って何事もなかったかのように戻ってきたそう。
しばらくして(残念ながら)死んでしまったのですが、
「ロク」は最後にどんな冒険をしたのでしょう、
ロマンがありますね。
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